2025年4月24日に開かれた基本合意書締結式に出席した、
左から渡邊繁樹(大阪府副知事)、
酒井隆行(公立大学法人大阪理事)、
櫻木弘之(公立大学法人大阪副理事兼学長)、
石橋武(公益財団法人大阪人権博物館理事長)、
髙橋定(公益財団法人大阪人権博物館専務理事)
石橋武(公益財団法人大阪人権博物館理事長)から
櫻木弘之(公立大学法人大阪副理事兼学長)に
寄付金の目録を贈呈
本日の2025年4月24日、公益財団法人大阪人権博物館(以下、財団)は公立大学法人大阪(以下、大学法人)との間に、「公益財団法人大阪人権博物館所蔵資料の公立大学法人大阪への移管に関する基本合意書」(以下、基本合意書)を締結しました。その内容は、次のとおりです。
一、財団は、別に作成する資料目録に掲げる資料(約3万点)を大学法人に無償で寄贈する。
一、資料の移管時期は2025年度末以降とし、移管場所は大阪公立大学杉本キャンパス1号館に設置する収蔵庫とする。収蔵庫への移管は、財団及び大学法人が共同して行う。
一、研究・教育・展示における資料の活用は、大学法人が主体的に行う。
一、大学法人は、資料の保存管理、展示に当って、必要に応じて財団の技術的助言を得ることができる。
一、財団は、財団が集めた寄付金223.098.476円を2025年5月末日までに大学法人に寄付する。大学法人は、これを資料の移管及び保存管理、活用等に必要な費用に充てる。
2022年4月1日に大阪府立大学と大阪市立大学が統合され、新しい日本有数の総合大学として大阪公立大学が開学しました。大阪公立大学は大阪府立大学と大阪市立大学の歴史と伝統を継承し、国際的な視野を射程に入れた日本における最大規模の公立大学として、さらに大学の本来的な存在価値である研究と教育を大きく発展させる可能性を有しており、あわせて社会的な役割と貢献の重要性が多方面から期待されています。
そこで財団は貴重な社会的共有財産としての資料を活用する場所として大阪公立大学が最も適切であると考え、2022年8月26日に大学法人に対して、次の理由によって提案しました。その第1は、財団が所蔵する資料が大学法人に寄贈されることによって、未来に向けて確実に保管され、次世代に継承できるからです。第2は、資料が大阪公立大学で研究、教育、展示に活用されることによって、学内のみならず大阪府民、大阪市民の人権意識の伸長に対して、大阪公立大学が社会的な役割と貢献を果たすことができるからです。第3は、資料を研究、教育、展示などに活用することによって、大阪公立大学が“知の創造拠点”としての存在価値を高めていくからです。
これをふまえて大阪公立大学学術資料受入検討委員会は、2023年3月16日に一定の条件が整うことを前提として、財団の提案を実現すべく前向きに検討するという見解を財団に示しました。そして財団と大学法人の関係者によって、2023年5月にリバティおおさか資料移管協議会が設置され、2025年度を目途とした資料の移管と活用に関する協議を定期的に開催することが確認されました。
リバティおおさか資料移管協議会は13回を数え、2回の現地の視察もおこないました。その結果、2025年3月13日に「リバティおおさか資料移管協議会最終報告~大阪人権博物館の所蔵資料を大阪公立大学で保管・活用するために~」(以下、最終報告書)をまとめました。この最終報告書は詳細な内容を含んでいますが、この最終報告書の重要な内容を要旨としてまとめたのが、基本合意書になります。
基本合意書の第5項にある大学法人への寄付金について、財団は2億円を目標として2023年12月10日から募集を開始しました。寄付金の募集に際しては、独自のリーフレットとポスターを作成し、大阪人権博物館の利用者をはじめ全国の支援者・支援団体、人権に関する関係者・関係団体などに対し、寄付金の募集を広く呼びかけました。そして寄付金の募集を終了した2025年3月31日までに、223.098.476円の寄付金を集めることができました。この寄付金の全額は、5月末日までに大学法人に寄付することになっています。この場において、寄付金の募集に応じていただいた多くの個人と団体に対しまして、深甚の感謝を申し上げます。
顧みますと、財団は財団法人大阪人権歴史資料館として1982年12月10日に設立され、1985年12月4日に登録博物館として大阪人権歴史資料館が開館しました。また1995年12月4日に財団法人と博物館の名称を大阪人権博物館と改称し、同時に常設展示のリニューアルを実現して、名実ともに“人権に関する総合博物館”としての社会的役割を果たすようになりました。さらに2005年12月4日に2度目の常設展示リニューアルを実現し、2012年4月1日には公益財団法人に移行しました。
そして2020年6月1日から休館し、6月19日の大阪市との民事裁判での和解をへて、2021年9月30日に大阪人権博物館の建物は失われましたが、資料の収集と保管、企画展、セミナーなどの博物館活動を継続することになりました。このように1985年12月4日から現在まで40年にわたる博物館活動によって、所蔵する資料は約3万点を数え、総利用者数は約170万人にも及び、社会的差別の撤廃と人権の確立に大きな効果をもたらすことによって、国内のみならず国外からも高い評価を受けてきました。
この度の基本合意書は、40年間にわたる大阪人権博物館の歴史をふまえて、大阪公立大学が主体的に資料の保存管理、研究、教育、展示などに活用することによって、その存在意義と社会的役割に関して新たな歴史を刻んでいこうとする姿勢を明確に示したことに、最大の意義があります。しかしながら今後は基本合意書を具体化する必要がありますので、リバティおおさか資料移管協議会を継続して協議を重ねることによって、2025年度末以降には資料の移管を完了させ、その後の研究、教育、展示などの活用に関して万全を期したいと考えています。
つきましては、これまで財団に協力と支援を惜しまれなかった多くの個人の方々、関係する団体と機関に対しまして深甚の感謝を申し上げ、今後とも財団の基本的な姿勢と方向に関しましてご理解いただき、より一層のご協力とご支援をお願して、財団の見解として発表する次第です。
2025年4月24日
公益財団法人大阪人権博物館所蔵資料の公立大学法人大阪への移管に関する基本合意書
リバティおおさか資料移管協議会最終報告~大阪人権博物館の所蔵資料を大阪公立大学で保管・活用するために~